二月のうた
吉野弘の詩集の中にありました。
二月の小舟
冬を運び出すにしては
小さすぎる舟です。
春を運びこむにしても
小さすぎる舟です。
ですから、時間が掛かるでしょう
冬が春になるまでは。
川の胸乳(むなじ)がふくらむまでは
まだまだ、時間が掛かるでしょう。
(吉野弘詩集 四季…春 から)
高2孫のかりんの誕生日が近づいています。
二月は、かりんが生まれ、かりんと姉さんを残して母親が死んだ月です。
幼かった頃、かりんは言いました。
「お母さんのいる家に生まれたかったよ」
あれはたしか、私が「人生に疲れたよ」と愚痴った時、かりんが「わたしも」と言ったので「あんたはまだ5年しか生きていない」とたしなめた私に向かって言ったのでした。
もの心ついたら、母のいない家だったのだから、無理もないと思います。
それ以前であったか後であったか、かりんは亡き母にあてた手紙を、白木の御霊屋(仏教では仏壇)の引き出しにしのばせてありました。
「しんでもげんきでね」
これには泣き笑いさせられました。
この手紙はかりんに取り上げられ、今は行方不明です。
かりんは母のいない家で17年生きてきました。
今日は一月最後の土曜日ですが、登校して模試を受けます。
いつものように、お弁当とレンジで温めた麦茶を持って出かけて行きました。
私にとって、二月はかなしい思い出を運んでくる小舟です。
けれどもまた、希望も運んで来てくれる小舟だと思っています。
(画像は私が色を塗った、蔦谷喜一のぬり絵です。)
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応援よろしくお願いいたします。
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