処分したはずの物が・・・
先日、押し入れの天袋を整理していた時、とっくに処分したはずの蛇の目の番傘が見つかった。
舞傘である。
50歳代の終り頃だっただろうか。
師匠の社中の発表会で「望郷じょんがら」という男踊りを踊った時の傘だ。
ひとり舞台だった。
半開きの傘に顔を隠して、舞台の下手から出て行った。
音を聞けば、少しは踊れるような気もするが、レコードプレヤーが壊れた時、レコードも全部ごみに出した。
ビデオも撮ってもらったし、写真もあったが、師匠が引退されてしばらくして、すべて捨てた。
引退の近かった師匠が、次第に体力気力を失くして行かれるのを見るのが辛かった。
踊りを1曲通して踊ってくれなくなり、1節ずつ小間切れに教わって、自分がつないで踊るようになって行った。
時どき姉弟子が代理で教えてくれたが、師匠とは芸風が全く違っていた。
私自身は、孫の親代わりとしてPTAなどで忙しくなっていたし、それを理由に稽古を休むようになった。
やがて一番弟子が後を継いだが、後継者について行ったのは数名にすぎなかった。
私は名前だけを貸して、稽古には行かなかった。
師匠は生涯にただ一人だけだと、ずっと以前から決めていた。
お元気だった頃の師匠に「先生がやめられる時は、私もやめます」と宣言していた通りになった。
師匠が亡くなられて4年になる。
師匠の踊りが好きだった。
25年間に教わった踊りは、数知れない。
途中で、母親に死なれた乳飲み子の孫を、育てなければならなくなった私を憐れんで下さったが、約一年後には踊りに復帰できて幸運だった。
懐かしいな「望郷じょんがら」
でも、この舞傘とも別れなければ・・・ね、お婆さん!
* * * * *
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
舞踊の師匠に対する思い胸を打たれました。
芸もそうですがやはり人なんでしょうね人の作り出す芸風ですから
思い出の品はなくなっても心に残る思いは消せませんね。
いい話を有難うございます。
投稿: おてる | 2019年11月 6日 (水) 22時24分
おてるさん、こちらにもありがとうございます。
踊りをしなくなった時、後輩にいろいろ上げましたが、まだ残っていたのでした。
他にも少し見つかりました。
ひととき思い出に浸って、それから処分しますね。
投稿: ウッシー | 2019年11月 7日 (木) 12時45分