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2019年12月 4日 (水)

こんな”ご褒美”もある

 自分のつれあいを「半ボケの金の亡者」と言っていた。
ガキ大将にいじめられているノラ猫のよう、と自分のことを嘆いていた。
その人からのメールは、消えて行かないように保存してあるから、今でも読み返すことができる。

 半ボケになる前から、変わった旦那だった。
定年退職して家にいるようになってからは、気兼ねで電話もあまりできなかった。
手紙も、葉書はだめで、封筒に入れて旦那の目に触れないようにした。

 「殺されるかと思うくらいにこき使われている」というメールも残っている。
(老人夫婦だけの暮らしなのに)朝は5時前に起きて家事を始める。
風呂上がりの旦那の身体を拭かされている。
足元に落ちたものを顎で指して拾わせられる。
やがて「私は膝が曲がりません」と言うメールが来るようになり、年賀状の文字が信じられないくらいに乱れて行った。

 リュウマチがひどくなって歩行も困難になったその人は、有料老人ホームで暮らしている。
とうとう車いすの生活になってしまった。
半ボケの旦那はこの秋の初め、病院で亡くなった。

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 「ガキ大将」にいじめられていた「ノラ猫」にやっと穏やかな暮らしが与えられた。
「老人ホームに入りたい、とにかく家事から解放されたい」という願いはかなえられた。
老人ホームのスタッフからは、言われているそうだ。
「長い間苦労したから、ご褒美をもらったのよ」

(悲しいご褒美ね)と私は言いたいのを堪える。
もっと早く、何とかならなかったのか?とも思う。
でも、仕方がなかったのかな?
その人の穏やかな日々を、素直に喜んで上げるべきなのだ、と言うところに落ち着く。

* * * * * 

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コメント

ご友人のお話は、おとぎ話のように思いながら読んでいます。
でも高齢シニアの現実なんですね。きついとか、好き嫌いなんて昔は言えなかったよ、という話を直接聞いたこともあります。これからはご自分ファーストでお過ごしくださいね、と思いました。

おはようございます。
考えようによってはすごく強い人なのかもしれませんね。
弱ければとっくの昔に逃げ出してしまうでしょうに
それともそんな傲慢な人への大きな愛情?
考えようはいくらでもありそうな気がしますしょせん本人でないと分からないでしょう
でも今は平穏に施設での暮らしご褒美?これも考えようですね。
一つ言えることはウッシーさんにメールで苦しさを訴えられた、それが救いだったのかも
私も昔辛い時代がありました今は亡き親友に電話アドバイスはいくつか受けましたがただ聞いてくれるだけそれが一番のすくい大きな救いを得ました。
人生いろいろ本当に生き方も様々ですね。

pmagoさん、お若い人が読んだら作り話みたいでしょうね。
私でさえ、そんなに言いなりにならなくてよかったのにって、思いますもの。
私は、年を取るにつれて、強くなって、立派な鬼婆になりました。

おてるさん、強い人だとも言えますね。
本人も「自分は我慢強い」という自覚があったみたいです。
「負けるもんか」という気持ちもあったでしょうね。
でも、身体がボロボロになってしまって残念ですね。

ウッシーさん、こんばんは

いよいよ本格的に寒くなって来ましたね。
ご友人は何のために耐え続けたのでしょうか。子供のため?生活のため?実家のため?
きっと色々な理由があったのでしょうね。次第に考えること思うことを手放してしまったのでしょうか?
寂しくて悲しいです。

今の若い人でも何度別れてもDVの人と結婚する人がいます。知っている子にもそんな人達がいます。
共通して感じるのは自分の思考を放棄していることです。
ご友人はこれからの人生、自由な心を羽ばたかせることができると良いですね。

にゃんにゃんさん、おっしゃる通りですね。
友人は、これからが大切だと思います。
もう年ですが、まだまだ100歳まで生きるかも知れません。
自分を大切に生きてほしいと思います。

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