足の爪切りを命じられた
朝食を食べてしばらくたった頃、
じいさんが突然「シャワー椅子を外に出してくれ」と言い出した。
シャワー椅子に腰かけて、爪を切りたいのだという。
風呂場からシャワー椅子を、エッチラオッチラと運ぶ。
重たくもないが、軽くもない(どっちなんや!?)椅子を軒下に出す。
じいさんは、杖を頼りに危なっかしい格好で軒下に出て、
椅子に腰掛け、手の爪を切り始めた。
椅子ごとひっくり返ることはないだろうけれど、
大丈夫かなあと傍に立っていたら、
手の爪を切り終えたじいさんに言われた。
「足の爪、切ってくれ」
「病院では、足の爪まで切ってもらったの?」
「切ってもらわないよ、手だけだよ」
爪水虫でえらいことになっている爪は、切る程には伸びていない。
少し角を丸くするだけかと思っていたら、
盛り上がったような状態の爪の表面を、つまむようにして切れという。
「ハイ ハイ ハイ」と言われた通りにした。
ところで、じいさんはトイレに何度通うことだろう。
行った時間をメモしようと思ったが、とても無理だった。
どうやらトイレに行くと出なくなるらしい。
「おシッコさんは、家のトイレが気に入らないのよ、きっと。そのうち慣れるでしょうから、焦らないで」
と、慰めたが、じいさんの眉間のしわが深くなるだけだった。
* * * * *
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よろしくお願いいたします。
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コメント
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いち読者の勝手な感想ながら、ご主人は50日もの入院のあとなのにしっかりされていると感じております。ご本人の体力気力はもちろんですが、入院中のメールはじめ励ましや支えが効いたのではないでしょうか。
父が88歳のときに自分で箸を使って食事する姿を「しっかりされていて羨ましい」と言われたのを思い出しました。そう言われるまで、私はそれを当たり前に思っておりました。あとでそのかたが歳の離れたお姉さまを介護する際、スプーンで食べ物を口に運んでいたと知りました。
かように人それぞれ状態も環境も違い介護の形は様々で、もつ感想も違います。そして誰にもそれぞれ違う苦労があると思います。
病人はつらいし気の毒ではありますが、お世話されるウッシーさんがお疲れでないか心配です。何の力にもなれませんが、せめて遠くからご健康をお祈りしています。
投稿: sakurana | 2020年7月12日 (日) 22時28分
おはようございます。
爪切り気になったのでしょうね、
自分以外の人の爪切りは難しいですね。
盛り上がった爪はやすりの方が良いのでは?
思うように出ない排尿、残尿感があるのかもしれないですね
電話で罹りつけ医さんに相談されては?
ひょっとして膀胱に問題が有ったりするといけないですから
ご夫妻ともご自愛くださいね・
投稿: おてる | 2020年7月13日 (月) 09時29分
sakuranaさん、ありがとうございます。
よくぞまあまあふつうの精神状態で帰って来てくれたと思います。
強い人なのでしょうね。
医師からは「お母さん一人では絶対に無理です」と、
自宅介護について言われました。
看護師さんからも「何か介護サービースを申し込まれましたか」と退院当日に尋ねられました。
まっ白な白髪のちび婆さんには、とうてい無理と思われたのは当然ですね。
私に自信があったわけではありませんが、まあやってみてだめなら、何とか道を探せばいいと思って家に連れて帰りました。
まだ始まったばかりですので、先のことはわかりません。
毎日が勝負と言う気がしています。
投稿: ウッシー | 2020年7月14日 (火) 09時48分
おてるさん、ありがとうございます。
やすりで爪を削りかけたら「そんなことでは追っつかない、爪切りで挟んで切り取るよう言われました。
何とかなりました。(笑)
おしっこがよく出るお薬を飲んでいるのです。
尿路結石を予防するためです。
おしっこと戦いですね(苦笑)
笑ってはいけませんけど・・・
投稿: ウッシー | 2020年7月14日 (火) 09時52分